俺様パイロットは容赦なく愛を囁き偽り妻のすべてを奪う
「具体的には?」
「もともと、この件で相談をしていた信頼のできる上司に協力を仰ぐつもりだ。俺が彼と妻の存在を仄めかす会話をすれば、噂はすぐに広がるだろう。たとえば、ひと目のある所で君と親しげに電話で話したりすれば後押しにもなる」
私たちが一緒にいるところは、見せる気がないようでほっとする。
モテる男性の異性絡みの話となれば、たったそれだけの振る舞いですぐに知られるだろう。
でもちょっと待ってと、立ち止まる。
この計画なら私に頼むまでもなく、架空の存在をでっち上げるだけでいいはずだ。
どうにも納得いかないと視線で問いかけると、それを感じ取っただろう椎名さんは苦笑した。
「具体的な相手がいなければ、滑稽な猿芝居になるだけだ。さすがに俺も、存在しない相手の惚気話を本気でできるような演技力はない」
「はあ」
つまり、彼の話し相手になればいいらしい。
ほかにもやりようはあるんじゃないかと考えかけたとき、椎名さんが雑な手つきで前髪をかき上げて深いため息をついた。
「正直なところ、このままでは業務に支障をきたしそうなほど悩まされているんだ」
「え?」
さっきまで強気だった彼が、眉を下げて弱りきった顔になる。その意外な表情に目を奪われた。
「例の女性は、俺を見かければどれだけ振り払っても纏わりついてくる。しかも周囲には、いかにも俺と親しい仲にあるように言いふらしていたらしい。最悪なのが、フライトが一緒になった日に宿泊先まで押しかけてきたことだ。侵入されるのはなんとか阻止したが、あれはもはや恐怖だった」
苦悩の一端を聞いただけでも、大変そうな状況が伝わってくる。
周囲の誤解は、きちんと解けているのだろうか。
「こっちは何度も断っているのに、日本語が通じないのか? もう勘弁してくれよ」
そう言うと、彼はテーブルに肘をついて両手で顔を覆ってしまった。
すっかり参っている様子が心配だし、かわいそうになってくる。
「もともと、この件で相談をしていた信頼のできる上司に協力を仰ぐつもりだ。俺が彼と妻の存在を仄めかす会話をすれば、噂はすぐに広がるだろう。たとえば、ひと目のある所で君と親しげに電話で話したりすれば後押しにもなる」
私たちが一緒にいるところは、見せる気がないようでほっとする。
モテる男性の異性絡みの話となれば、たったそれだけの振る舞いですぐに知られるだろう。
でもちょっと待ってと、立ち止まる。
この計画なら私に頼むまでもなく、架空の存在をでっち上げるだけでいいはずだ。
どうにも納得いかないと視線で問いかけると、それを感じ取っただろう椎名さんは苦笑した。
「具体的な相手がいなければ、滑稽な猿芝居になるだけだ。さすがに俺も、存在しない相手の惚気話を本気でできるような演技力はない」
「はあ」
つまり、彼の話し相手になればいいらしい。
ほかにもやりようはあるんじゃないかと考えかけたとき、椎名さんが雑な手つきで前髪をかき上げて深いため息をついた。
「正直なところ、このままでは業務に支障をきたしそうなほど悩まされているんだ」
「え?」
さっきまで強気だった彼が、眉を下げて弱りきった顔になる。その意外な表情に目を奪われた。
「例の女性は、俺を見かければどれだけ振り払っても纏わりついてくる。しかも周囲には、いかにも俺と親しい仲にあるように言いふらしていたらしい。最悪なのが、フライトが一緒になった日に宿泊先まで押しかけてきたことだ。侵入されるのはなんとか阻止したが、あれはもはや恐怖だった」
苦悩の一端を聞いただけでも、大変そうな状況が伝わってくる。
周囲の誤解は、きちんと解けているのだろうか。
「こっちは何度も断っているのに、日本語が通じないのか? もう勘弁してくれよ」
そう言うと、彼はテーブルに肘をついて両手で顔を覆ってしまった。
すっかり参っている様子が心配だし、かわいそうになってくる。