俺様パイロットは容赦なく愛を囁き偽り妻のすべてを奪う
「さてと。そろそろ仕事へ行く準備をするか」
「あ、あの」

 さっと立ち上がった翔さんに、慌てて声をかける。

「なに?」

 彼の顔には、もう愁いは浮かんでいないようでほっとした。

「私、翔さんの助けになるように、ちゃんと協力しますから」

 のみ込むには、覚悟や勇気のいる条件もある。彼と一緒のベッドで眠るなんて、考えただけでも恥ずかしくてたまらない。

 それでも、放ってはおけないと思った。

 一瞬、虚を突かれたような顔をした翔さんだったが、それからフッと力を抜いて温かな笑みを浮かべた。

「ありがとう」

 そのひと言に、さっきまでの意地悪さは感じられなかった。




< 28 / 110 >

この作品をシェア

pagetop