俺様パイロットは容赦なく愛を囁き偽り妻のすべてを奪う
少しでも寝室から目を背けたくてリビングに居座り、見てもいないテレビを流し続ける。先にお風呂に入るように翔さんを促すと、素直に従ってくれた。
「ほら。真由香も入って来いよ」
入浴を終えた彼は、まだしっとりと濡れた髪をタオルで拭ききながら戻ってきた。
「ちゃんと乾かさないと、風邪を引きますよ」
「そのうち乾くよ」
いくら室内は一定の温度に保たれているとはいえ、季節はもう冬目前だ。
仕事に関してはきっちりとした人だが、プライベートでは気を抜いているらしい。
それは意外だったものの、だらしないとかマイナスには感じない。むしろ、完璧すぎないところが好ましい。
「だめですって。パイロットは体が資本なんですから」
翔さんがいかにも面倒だという顔をする。こんな表情もするのかと意外に思いつつ、ドライヤーを彼に差し出した。
「それなら、真由香が乾かしてよ」
「え?」
予想外の返しに、唖然とする。
「俺の心配をしてくれているんだろ?」
戸惑いながらうなずいた私の腕を、彼が引き寄せた。
「頼むよ、真由香」
耳もとでそうささやかれて、全身が熱くなる。
「わ、わかりましたから」
勢いよく体を離すと、翔さんはおかしそうに笑った。
「もう! 私があなたの声に弱いって、わかってやっていますよね?」
不満を訴えながら、渋々用意をする。彼があまりにもフランクに接してくるから、私も遠慮がなくなってきた。
「さあ、どうかな」
変に緊張して過ごすよりは気楽でいい。
そう前向きに考えたものの、いざ彼の髪を触れる段階になって怖気つく。
「し、失礼します」
急に畏まった私を、翔さんが笑う。
ソファーに座った彼の背後に立ち、風を当てながら目の前の黒髪に遠慮がちに指を通した。
大人の男性にこんなふうに接するなんて初めてだ。彼の黒髪は見た目の印象よりも柔らかくて、意外と触り心地がいい。
顔が見えなければ、案外平気かもしれない。よすぎる声も今は聞こえないから、次第に気が緩んでいく。
「ほら。真由香も入って来いよ」
入浴を終えた彼は、まだしっとりと濡れた髪をタオルで拭ききながら戻ってきた。
「ちゃんと乾かさないと、風邪を引きますよ」
「そのうち乾くよ」
いくら室内は一定の温度に保たれているとはいえ、季節はもう冬目前だ。
仕事に関してはきっちりとした人だが、プライベートでは気を抜いているらしい。
それは意外だったものの、だらしないとかマイナスには感じない。むしろ、完璧すぎないところが好ましい。
「だめですって。パイロットは体が資本なんですから」
翔さんがいかにも面倒だという顔をする。こんな表情もするのかと意外に思いつつ、ドライヤーを彼に差し出した。
「それなら、真由香が乾かしてよ」
「え?」
予想外の返しに、唖然とする。
「俺の心配をしてくれているんだろ?」
戸惑いながらうなずいた私の腕を、彼が引き寄せた。
「頼むよ、真由香」
耳もとでそうささやかれて、全身が熱くなる。
「わ、わかりましたから」
勢いよく体を離すと、翔さんはおかしそうに笑った。
「もう! 私があなたの声に弱いって、わかってやっていますよね?」
不満を訴えながら、渋々用意をする。彼があまりにもフランクに接してくるから、私も遠慮がなくなってきた。
「さあ、どうかな」
変に緊張して過ごすよりは気楽でいい。
そう前向きに考えたものの、いざ彼の髪を触れる段階になって怖気つく。
「し、失礼します」
急に畏まった私を、翔さんが笑う。
ソファーに座った彼の背後に立ち、風を当てながら目の前の黒髪に遠慮がちに指を通した。
大人の男性にこんなふうに接するなんて初めてだ。彼の黒髪は見た目の印象よりも柔らかくて、意外と触り心地がいい。
顔が見えなければ、案外平気かもしれない。よすぎる声も今は聞こえないから、次第に気が緩んでいく。