俺様パイロットは容赦なく愛を囁き偽り妻のすべてを奪う
 翔さんはそれまでつけていたネクタイを外し終えて、私がプレゼントしたグレーのものを手に取っていた。

「この色、真由香の服と色合いが同じだ」

 言われてみればたしかによく似通っている。

「どう?」

 新たにネクタイを締め終えた翔さんが、私の方へ体を向ける。ちょっとしたところで色をそろえたなんて、いかにも恋人らしい。

「素敵だと、思います」

 ミディアムグレーのスーツに、よく似合っている。気恥ずかしくはあるものの、なんだか心が浮き立つ。

 準備ができたところで車に乗り込み、目的のフレンチレストランへ向かう。

 せっかくだからと、翔さんは人気シェフの経営するレストランのクリスマスディナーを予約してくれていた。
 一日十組限定だというこのお店は、普段からなかなか予約が取れないと聞く。ましてクリスマスとなれば、席の争奪戦は相当激化しただろう。

 照明を絞ってラグジュアリーに演出された店内をスタッフについて進み、案内された席に着く。
 店内には観葉植物が飾られており、ほかの客の視線を遮ってくれる。

「このお店、いろいろな雑誌に取り上げられていますよね? 予約が取れたなんてすごいです。連れて来てくれて、ありがとうございます」

「ちょっと伝手があったから。気に入ってくれたようで、よかった」

 料理は前評判通り、見た目も味も素晴らしい。美味しいものを前にすると、緊張も解れて彼との会話が弾んだ。
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