さくらびと。美桜 番外編(2)
「あなたが毎日欠かさず来て、時には冗談まで言い合って……


それが周りのスタッフにとっても癒しになっていたり、

大きな励みになってるのよ」






裕紀は花瓶を持つ手に力が入った。





自分が美桜の支えになれるだけでなく、彼女が病院全体の空気まで変えているのか。






「だから……どうか無理はしないでね」





倉橋は優しく付け加えた。






「辛い時は休んでね」






その言葉の裏に隠された意味を感じ取り、裕紀は深く頭を下げた。




「ありがとうございます」







「さてと……そろそろ夜勤の準備をしなくっちゃ」






倉橋は白衣の裾を整えた。







「美桜さんにまた新しい桜を見せに行ってあげてくださいね」






彼女が去っていく後ろ姿を見送りながら、裕紀は花瓶を美桜の病室へ運ぶために歩き出した。






廊下の窓から差し込む夕陽が桜を淡く照らす。







(僕だけじゃなく……美桜も戦ってるんだ)







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