さくらびと。美桜 番外編(2)
足元で何かが光った気がした。
よく見ると、土で汚れて滲んでいた名札が落ちていた。
そこに書かれている名前に、裕紀は微かに目を見開く。
「……っ」
裕紀は思わず声をあげた。地面を探ると土で汚れた白い名札が見つかった。
すぐに拾い上げる。
「………?」
震える手で汚れを払うと、名字は土で汚れ、滲んでいてわからなかったが、持ち主であるだろう名前が書いてあった。
ーーいつか、、"蕾が芽吹くかもしれないでしょ?
「……っ」
美桜が最後に言った言葉を思い返し、
名札をぎゅっと握りしめた。
暫くしてから、裕紀はベンチにその名札を置いてゆっくりと立ち上がり、その場を立ち去った。