ぜんぶ、ちょうだい。
「清水!!」
声が裏返りそうになるのを、無理やり抑える。
「……はっ?」
エプロンを畳んでいた清水が、顔を上げた。
ちょうど休憩に入るタイミングだったらしい。
息を切らして、チョコバナナを両手に持った私。
その姿が、よっぽどおかしかったのか、清水は、くっと笑った。
「ふたつも食べんのかよ」
その笑い声を聞いた瞬間。
――あ。
胸の奥が、じんわり熱くなる。
前の席なのに。毎日、顔を合わせてたはずなのに。
清水の笑い声を、こんなふうにちゃんと聞いたの、久しぶりな気がして。
「……清水。話したいこと、ある」
声が震えそうになるのを、必死でこらえる。
清水は一瞬だけ目を丸くしてから、いつものみたいに笑った。
「俺も」