ぜんぶ、ちょうだい。
「だから……友達に、戻りたい」
チラっと隣を見る。
清水は、何でもないみたいに前を向いたまま、チョコバナナを食べ続けている。
少し間があって。
「戻りたいもなにも」
噛み終わってから、ぽつり。
「ずっと友達だろ」
「……え?」
「お前が勝手に絶交宣言しただけでさ」
清水は、こっちを見ずに続けた。
「俺は、最初からずっと友達だと思ってるよ」
……なにそれ。
胸の奥が、じわっと熱くなる。
改めて思う。
この人、器でかすぎる。怒ってもいいのに。距離置いてもよかったのに。全部、受け止めてくれてた。
優しさの塊だ。
「……清水」
名前を呼んだら、声が少しだけ、震えた。
「それにさー」
清水が、チョコバナナを食べ終えて、わざとらしく意地悪な顔をした。
「俺さ。泉先輩を見つめてる吉川の横顔が好きだったわけで。それが俺に向くってなると、なんか違うんだよなー。お前より可愛い女子なんて、いっぱいいるし」
「ちょっと!? それはさすがに酷くない?」
思わず突っ込む。
あのさ。
それ、ほんとに私のこと好きだった人のセリフ?
って、言いたくなる気持ちはある。
でも。
たぶん清水なりの、優しさなんだ。
変に気まずくならないようにって。
清水は声を出して笑ってる。
それが、答えでいい。