ぜんぶ、ちょうだい。
「……よしっ!」
大丈夫。
昨日を、先輩との最後の思い出にしたくない。
だって、私、まだ伝えきれてないんだもん。
「清水!ありがとう!ごみよろしくね!」
「はいはい、あんま走んなよー」
清水に大きく手を振ると、また走り出した。
廊下で先生に注意されたけど、華麗にかわして――
目線は、泉先輩に向けて。
3年生は出しものもしていないから、どこにいるか分からない。
一般のお客さんもたくさんいる中で、先輩ひとりを探すのは容易じゃない。
でも大丈夫。
私、先輩のストーカーしてたからね。
アンテナ、ビンビン張ってるからね。
どこにいても、絶対見つけてみせますよ。
曲がり角で一瞬スピードを緩めたその瞬間――
「きゃっ」
「うおっ!」
誰かにぶつかって、全く色気のない声が出てしまった。
目線を上げると――
ぶつかった相手は、水元先輩だった。