ぜんぶ、ちょうだい。



学校中、走り回ったけど、先輩らしき人は見つからない。
いや、先輩の友達すら見つからない。

諦めたくないのに――
やっぱり私には、先輩は見つけられないのかなって
さっきまでの強気だった気持ちも、どこかへ消えていきそうになる。


廊下を走っていると、外からスピーカーの大きな音が聞こえた。



「では、ただ今から、未成年の主張を開催しまーす!!」



大きな拍手と歓声。



「トップバッターは――」



司会の声が渡り廊下の向こうから聞こえる。
ステージには、女の子が立っていた。



「私には、好きな人がいまーす!」



その瞬間、会場が盛り上がる。
思わず、私も足を止めた。



「だーれ!」



おなじみの掛け声が飛ぶ。
その子は、相手の名前を大きく叫んだ。

ステージから溢れる、真っ直ぐな愛。
最後のほうは、声が震えて、泣きそうになっていた。


相手の声は、よく聞こえなかった。
でも、最後の言葉だけははっきりと耳に残った。



「聞いてもらえてすっきりしましたー!これからもずっと友達でいてください」



あ……振られたんだ。

告白することって、簡単なことじゃなかったんだなって、今さらながら思う。

先輩は、私に時間を使ってくれた。
私のこと、好きでもなんでもなかったと思う。それでも、いつも話を聞いてくれた。
迷惑って言われたけど――

でも、あれは当たり前のことじゃなかったんだなって思った。


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