キミの隣は俺の場所
信じられない気持ちのまま、私はぎこちなく椅子に腰を下ろす。


 昨日、夜の駅前で――


 しつこく話しかけてくる男たちに困っていた私を、間に入って追い払ってくれた“あの人”。


 碓氷 楓。


 名前は、朝の自己紹介で初めて知った。


 (まさか、同じ学校だったなんて……)



 そして、よりによって隣の席。


 
彼は鞄の中から本を取り出し、無言でページをめくる。
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