キミの隣は俺の場所
私のことなんて、最初から知らないみたいに。


 ――でも、私の方は忘れられるわけがない。


 胸がざわつく。目を合わせるのも変に緊張してしまう。


 「……あの、昨日……ありがとう」


 思い切って声をかけた。


 けれど、返事はなかった。


 しばらく沈黙が続いたあと、彼はページから目を離さずに、低く、ぼそっと言った。



 「……人違いじゃね?」


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