キミの隣は俺の場所
 「えっ……?」


 顔を向けると、彼はやっとこちらを見た。けれど、その目には“何の感情もない”ように見えた。


 昨日と同じ、鋭い目。


 でも、昨日の彼の横顔には――確かに優しさがあった。


 怖がっていた私に、何も言わずにそっと手を差し伸べてくれた。


 (あれが、夢だったっていうの……?)


 言い返せずに、私は黙ってしまった。
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