キミの隣は俺の場所
みんながこちらを見る中で、彼だけは視線を逸らしていた。
 でも、目の端でこちらを見ているのがわかった。
 
 「でも……私なんかが……」
 
 言いかけた瞬間、楓がこっちを向いた。
 
 「“なんか”って言うな」
 
 その声は、静かで――でも、どこか怒っているように感じた。
 
 「自分の価値、勝手に決めんなよ。お前を姫にするってのは、俺たちが決めたことだ」
 
 胸の奥が、ギュッと締めつけられた。
 
 そんなふうに言われたこと、今まで一度もなかった。
 
 私は、少しだけ迷って――
 それでも、しっかりと前を見て、頷いた。
 
 「……わかりました。私でよければ、お願いします」
 
 その瞬間、藤咲くんが両手を叩いて笑う。
 
 「よっしゃあ〜〜! 夜桜、姫誕生〜!!」
 
 「正式な儀式は後でやるとして……今日からは、俺たちが守る」
 
 悠真先輩が真剣な顔で言った。
 
 「へへ、これで楓も彼女できたみたいなもんじゃん」
 
 
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