キミの隣は俺の場所
 「その時の父さんの言葉がずっと頭から離れない。『女はみんな裏切る』って…」


 私は彼の手をそっと握った。


 「辛かったね…」


 楓は一瞬驚いた顔をしたけど、やがて弱く笑った。


 「お前だけは違う。陽菜だけは、俺の心に触れてくれた」


 夜桜の花びらがひらり、私たちの間に舞い落ちた。


 その瞬間、私は彼の孤独も、強さも、少しだけ知ることができた気がした。
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