完璧な社長は、私にだけ素顔を見せて溺愛する
「新谷さん、顔色が悪いですよ。画面越しでも分かります」
深夜1時を過ぎた頃、桐原社長が心配そうに声をかけてくる。
「大丈夫です。ちょっと疲れただけで……」
「無理しすぎです。少し休憩してください」
彼の優しい声に、私の疲れが一気に表面化する。
「でも、まだ終わってないので……」
「君が倒れてしまっては、元も子もありません。15分だけでいいから、休憩を」
彼の言葉に従い、私は椅子に深く座り込んだ。
「ありがとうございます。桐原社長がいてくださって、本当に心強いです」
素直な気持ちが口から漏れた。
「こんな無防備な姿、誰にも見せないでくださいね」
彼の声が、普段より低く響く。
「特に、さっきの田中さんのような男性には」
最後の言葉は小さく、まるで独り言のようだった。
「え?」
彼は、何を言っているのだろう。でも、その声音には確かに何か特別な感情が込められていた。
「……すみません、余計なことを言いました。さあ、最後の仕上げを頑張りましょう」
彼の声が再び明るくなり、私は首を傾げながらも作業に戻った。