完璧な社長は、私にだけ素顔を見せて溺愛する
「どこか、梓さんが行きたい場所でもいいですし、僕がおすすめの場所にお連れしてもいい。ただ……」
彼が少し照れたような表情を見せる。
「もっと、あなたのことを知りたいんです」
その言葉に、私の胸が高鳴る。
「私も……圭佑さんのこと、もっと知りたいです」
「では、土曜日は?」
「はい、大丈夫です」
私たちは、駅の改札前で立ち止まった。
「それでは、詳細はまた連絡させていただきますね」
圭佑さんはそう言って、私の手をそっと握った。その温かい手の感触に、私の心が跳ね上がる。
「楽しみにしています」
彼の視線が、私の目を捉えて離さない。その瞳には、確かに何か特別な感情が宿っていた。
「では、気をつけて」
彼は最後にそう言って、私の手を離した。
私は一人改札を通りながら、胸の高鳴りが止まらないのを感じていた。
手に残る彼の体温、名前で呼び合えるようになったこと、そして土曜日の約束……。
今日の出会いは、確実に何かを変えた。
電車の揺れに身を任せながら、私は腕に残る彼の手の感触を思い出していた。
『もっと、あなたのことを知りたいんです』
あの言葉は、ただの社交辞令じゃないはずだ。彼の瞳には、確かに何か特別な感情が宿っていた。
でも、私は彼のことを本当に知っているのだろうか。