完璧な社長は、私にだけ素顔を見せて溺愛する
「圭佑さん、三ヶ月後の婚約発表の件でお父様がお呼びです」
秘書の言葉に、俺は深いため息をついた。
父親は、既に婚約発表の準備を進めている。三ヶ月──まだ時間はある。
だからこそ俺は、KIRIHARA TECHを立ち上げた。
父親の権力に頼らず、自分の力で成功を証明したかった。そして、本当の自分を愛してくれる人を見つけたかった。
新谷梓は違う。彼女は、俺が財閥の御曹司であることを知らない。
知っているのは、一人の経営者としての俺だけだ。そして今夜、彼女と心を通わせることができた。
俺が求めているのは、梓のような真の強さを持った女性なんだ。
仕事に対する真摯な姿勢、困難に立ち向かう勇気、そして不器用ながらも誠実な人柄。すべてが本物で、すべてが愛おしい。
机の上には、父親からの結婚を催促するメールが届いている。三ヶ月後の麗華との婚約発表まで、まだ時間はある。
でも、この想いが本物なのか、確かめなくては。
土曜日、彼女と二人きりで過ごす時間。それが俺にとって、決断のための大切な時間になるだろう。
新谷梓──君を、誰にも渡したくない。君が他の男性と笑顔で話す姿を想像するだけで、胸が苦しくなる。
この想いが正しいのかどうか分からない。でも、一つだけ確かなことがある。
俺は、君と一緒にいたい。君だけを見ていたい。
まだ伝えるのは早いかもしれない。でも、近いうちに必ず──君に、この想いを伝えよう。
そして、もし君が俺の想いを受け入れてくれたなら……その時は、すべてを賭けて君を守り抜く。
政略結婚も、父親の期待も、すべて断ち切って。
俺の人生で初めて、心から愛したいと思える女性に出会えたのだから。