完璧な社長は、私にだけ素顔を見せて溺愛する
第4話 初めてのデート
土曜日の朝、私は服選びに悩んでいた。
婚活パーティーのような可愛らしさを演出すべきか、それとも普段の自分らしさを大切にすべきか。
結局、淡いピンクのブラウスに紺のスカートを選んだ。歩きやすい低めのパンプスに、髪はいつもより自然にまとめている。
鏡を見ながら、「今日は素の自分でいよう」と心に決めた。
午前10時50分。JR渋谷駅のハチ公前で待ち合わせをした私は、緊張で胸が早鐘を打っていた。
今日は仕事でも婚活でもない。本当のデートなのだ。
「梓さん」
振り返ると、圭佑さんが歩いてくるのが見えた。そして、私は思わず息を呑んだ。
白いオックスフォードシャツに、ダークグレーのチノパン。足元は、レザーのローファー。
いつものスーツ姿とは全く違う、カジュアルながらも上品な装いの彼がそこにいた。
それでも、彼から漂う独特のオーラは変わらない。どんな服装をしても、彼の存在感は圧倒的だった。
「おはようございます。お待たせしました」
彼の笑顔は、いつものビジネスモードの表情とは違う。リラックスして、でもどこか特別な輝きを宿していた。
「こちらこそ、おはようございます、圭佑さん」
私が彼の名前を呼ぶと、彼の表情がさらに和らいだ。
私たちは並んで歩き始める。
「あの……今日は、どちらへ?」