完璧な社長は、私にだけ素顔を見せて溺愛する

その日の午後、信じられないことが起きた。

受付から「新谷さんに、面会の方がいらっしゃってます」と連絡があったのだ。

まさか圭佑さんが? と思って急いで受付に向かうと、そこに立っていたのは記事で見た美しい女性だった。

水沢麗華。間近で見ると、写真以上に完璧な美貌だった。

艶やかな黒髪をきっちりまとめ、高級ブランドのツイードスーツを見事に着こなしている。

真珠のアクセサリーが、上品に光っている。

そして何より、生まれ育ちの良さが全身から漂っていた。私とは、住む世界が違う人だということが一目で分かった。

「新谷梓さんですね。初めまして、水沢麗華と申します」

彼女は優雅に微笑みながら、お辞儀をした。その声は、教養のある格調高い響きを持っていた。

「は、初めまして……」

私は動揺しながらも、何とか挨拶を返した。

「少しお話があるのですが、お時間をいただけますでしょうか」

断る理由もなく、私たちは近くのホテルのラウンジに向かった。
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