完璧な社長は、私にだけ素顔を見せて溺愛する
第6話 すべてを賭けた決断
翌朝、私は複雑な気持ちで出勤していた。
昨夜、圭佑さんのあの必死な姿を思い出すと、胸が締め付けられる。
「必ずすべてを解決してみせる」──あの言葉は、本当だったのだろうか。
オフィスに到着すると、田中主任が明るい表情で私のデスクに近づいてきた。
「新谷さん、おはようございます。そういえば、KIRIHARA TECHとの新規プロジェクトの話、正式に決まったそうですよ。桐原社長から直々に、新谷さんを指名してほしいと依頼があったとか」
「え?」
私は思わず声を上げた。圭佑さんが……?
心臓が激しく鼓動する。これは、彼が動いた証なのだろうか。
◇
昼休み、私は春菜に電話をかけていた。
「春菜、圭佑さんから連絡があったの。今日の夕方、会いたいって」
「行くんでしょう?」
春菜の声は確信に満ちていた。
「でも、怖いの。もし、また傷つくことになったら……」
「梓、あなたって本当に臆病ね。でも、それでいいのよ。本当に大切なものを見つけた時、人は怖くなるものだから」
春菜の言葉に、私ははっとした。
「彼の話を聞いてあげて。そして、自分の心に正直になって」
「……うん」
私は決心した。圭佑さんに会おう。そして、ちゃんと話を聞こう。