完璧な社長は、私にだけ素顔を見せて溺愛する

第6話 すべてを賭けた決断


翌朝、私は複雑な気持ちで出勤していた。

昨夜、圭佑さんのあの必死な姿を思い出すと、胸が締め付けられる。

「必ずすべてを解決してみせる」──あの言葉は、本当だったのだろうか。

オフィスに到着すると、田中主任が明るい表情で私のデスクに近づいてきた。

「新谷さん、おはようございます。そういえば、KIRIHARA TECHとの新規プロジェクトの話、正式に決まったそうですよ。桐原社長から直々に、新谷さんを指名してほしいと依頼があったとか」

「え?」

私は思わず声を上げた。圭佑さんが……?

心臓が激しく鼓動する。これは、彼が動いた証なのだろうか。



昼休み、私は春菜に電話をかけていた。

「春菜、圭佑さんから連絡があったの。今日の夕方、会いたいって」

「行くんでしょう?」

春菜の声は確信に満ちていた。

「でも、怖いの。もし、また傷つくことになったら……」

「梓、あなたって本当に臆病ね。でも、それでいいのよ。本当に大切なものを見つけた時、人は怖くなるものだから」

春菜の言葉に、私ははっとした。

「彼の話を聞いてあげて。そして、自分の心に正直になって」

「……うん」

私は決心した。圭佑さんに会おう。そして、ちゃんと話を聞こう。
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