下剋上御曹司の秘めた愛は重すぎる
あの衝撃のプロポーズから入籍まで、まさに電光石火の早さであった。

すぐに若宮家のご祖父母、そして浜松にいる私の両親に結婚の挨拶に行き、先日24日のクリスマスイブに入籍したばかりだ。

本当は浜松に行った後、伊吹くんのお母さんが静養しながら暮らしている熱海にも挨拶に行くつもりだった。

しかし、ちょうどその日は伊吹くんのお母さんに用事が入ってしまっており、事後報告になってしまうけれど、後日改めて伺うことになった。電話ではお話をさせてもらい、この結婚をとても喜んでくれた。


そして、若宮のご祖父母、柳之介さんと早苗さんについては、まあ私が嫁では気に食わないだろうな、と不満を持たれていることをある程度は覚悟していた。

何と言っても、当初伊吹くんと交わした『伊吹くんが選んだ人と結婚する』という約束を忘れた様子でご令嬢との結婚を勧めてきたくらいなのだから。

だけど、結局は伊吹くんが自分の意志を貫くことはわかっていたようだ。

でも、それよりわからないのは、伊吹くんがそこまでして私との結婚を強行したことだった。

挨拶の日、日本橋にある立派な日本家屋のお屋敷に足を踏み入れた。ガチガチに緊張しながら広いお座敷での対峙。

お2人は私のことをすごく歓迎しているわけではないけれど、結婚はちゃんと認めてくれた。

「その節は大変申し訳なかった。すべては君たちのことを考えたゆえだった。だが、どうやら2人は強い絆で結ばれているようだ。伊吹をどうぞよろしく」

お2人からはそう言って頭を下げられた。私は慌てて頭を上げて頂くよう頼んだ。おじい様が何に対して謝っているのか、私にはわからなかった。だけど心の奥ではどこかストンと腑に落ちた感覚があった。

そして私たちの新婚生活が始まったわけなのだが――
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