下剋上御曹司の秘めた愛は重すぎる
もう二度と離れない
2月、バレンタインデー。その日の夜、私は伊吹くんに手作りと買ったやつの両方を渡した。
ちなみに大学生の頃はとにかく量があった方が良いだろうと考えて、駄菓子みたいなチョコを大量に袋詰めにして渡していた。
すると伊吹くんは『わぁ、早朝バイトの後のエネルギー補給に助かる』と大層喜んでいた。
そして現在、彼は感極まった様子でチョコの箱を胸に抱きしめた。
「はるちゃんからのチョコ……この5年、念願だった。これらは食べずに大切に飾っておこう」
「いや、腐るし虫がたかるから早めに食べてね!」
ジーンと悦に入っている彼を、私は高速でたしなめたのだった。
現在、私と伊吹くんは新居のマンションで生活を送っている。
ひとまずは賃貸のマンションを契約したが、分譲マンションを購入しなかったのはもっと色々見て検討してからにしようと2人で決めたからだった。
結婚が決まった当初は、ゆくゆくは日本橋の若宮邸で暮らすことになるのかと緊張していた。だがそうでないことはすぐにわかった。
結婚の挨拶に行った折に、おじい様の柳之介さんがこう話していた。
「私はあと3年以内には引退し、数年後には私たちは老人ホームに入る予定だ。そうしたらこの屋敷は伊吹に継いで欲しいが、維持費だけでも相当な額がかかるだろう。だから無理をせず売却しても良い。だが売却先は慎重に検討せねばならんがな」
ちなみに大学生の頃はとにかく量があった方が良いだろうと考えて、駄菓子みたいなチョコを大量に袋詰めにして渡していた。
すると伊吹くんは『わぁ、早朝バイトの後のエネルギー補給に助かる』と大層喜んでいた。
そして現在、彼は感極まった様子でチョコの箱を胸に抱きしめた。
「はるちゃんからのチョコ……この5年、念願だった。これらは食べずに大切に飾っておこう」
「いや、腐るし虫がたかるから早めに食べてね!」
ジーンと悦に入っている彼を、私は高速でたしなめたのだった。
現在、私と伊吹くんは新居のマンションで生活を送っている。
ひとまずは賃貸のマンションを契約したが、分譲マンションを購入しなかったのはもっと色々見て検討してからにしようと2人で決めたからだった。
結婚が決まった当初は、ゆくゆくは日本橋の若宮邸で暮らすことになるのかと緊張していた。だがそうでないことはすぐにわかった。
結婚の挨拶に行った折に、おじい様の柳之介さんがこう話していた。
「私はあと3年以内には引退し、数年後には私たちは老人ホームに入る予定だ。そうしたらこの屋敷は伊吹に継いで欲しいが、維持費だけでも相当な額がかかるだろう。だから無理をせず売却しても良い。だが売却先は慎重に検討せねばならんがな」