下剋上御曹司の秘めた愛は重すぎる
「はるちゃん、ごめん」
「謝らないでよ。その代わり、もう無理しないで。私や他の人をもっと頼っていいんだよ」
「そうですよ」
「「えっ……」」
2人しかいなかったはずの病室に、もう1人別の人間の声がして私たちは驚いた。
それは病室の外で待機してくれていた東城さんだった。
「タイミングを見計らって、今ほど入室させて頂きました。……そこで今の件ですが、榛名さんの言う通りですよ。ホテルにも伊吹さんの助けになりたいと願う人間は大勢います」
「そうか……そんな風に思ってくれていたんだな」
伊吹くんは病室の天井を見上げながら静かに呟いた。
医師の診察では、今夜一晩入院して明日には退院して良いと言われた。だけど私としてはあと数日くらい入院してしっかり静養して欲しかった。
再び2人きりになった病室。伊吹くんがぼそりと呟いた。
「はるちゃん、俺は自分が頑張らないと大事な人を守れないと思っていたんだ」
「伊吹くん……。伊吹くんは私のことも、お母さんのことも、おじいさんやおばあさん、ホテルの皆のこともしっかり守ってくれているよ」
伊吹くんの手を握りしめた。私はどうしてもこれを伝えたかった。
「ありがとう、そう言ってもらえて頑張った甲斐がある。俺の体質は頑強な祖父の隔世遺伝だと信じていたんだ」
彼はそう言って微笑む。
「でも無理は禁止。これからは私やホテルの従業員さんたちを頼って」
私がそう言ってたしなめると、
「じゃあ、俺からはるちゃんにお願いがある。うちのホテルに入社して、ずっと俺のそばにいて」
伊吹くんは兼ねてより考えていたようなニュアンスでそう伝えてきた。
「もしかして、以前に話そうとしていたのはこのこと?」
そう尋ねると、彼は「そうだよ」と微笑んだ。
「俺もはるちゃんともう二度と離れたくない。ずっと俺のそばにいて欲しい」
今の旅行会社の仕事は好きだ。それをこんなにすぐ決めてしまっていいのだろうか。
でも私にとって最も大切なのは伊吹くん。迷いはなかった。
「わかった。ホテルに入社して、ずっと伊吹くんのそばにいる」
私たちはもう二度と離れないことを決めた。
Fin.
「謝らないでよ。その代わり、もう無理しないで。私や他の人をもっと頼っていいんだよ」
「そうですよ」
「「えっ……」」
2人しかいなかったはずの病室に、もう1人別の人間の声がして私たちは驚いた。
それは病室の外で待機してくれていた東城さんだった。
「タイミングを見計らって、今ほど入室させて頂きました。……そこで今の件ですが、榛名さんの言う通りですよ。ホテルにも伊吹さんの助けになりたいと願う人間は大勢います」
「そうか……そんな風に思ってくれていたんだな」
伊吹くんは病室の天井を見上げながら静かに呟いた。
医師の診察では、今夜一晩入院して明日には退院して良いと言われた。だけど私としてはあと数日くらい入院してしっかり静養して欲しかった。
再び2人きりになった病室。伊吹くんがぼそりと呟いた。
「はるちゃん、俺は自分が頑張らないと大事な人を守れないと思っていたんだ」
「伊吹くん……。伊吹くんは私のことも、お母さんのことも、おじいさんやおばあさん、ホテルの皆のこともしっかり守ってくれているよ」
伊吹くんの手を握りしめた。私はどうしてもこれを伝えたかった。
「ありがとう、そう言ってもらえて頑張った甲斐がある。俺の体質は頑強な祖父の隔世遺伝だと信じていたんだ」
彼はそう言って微笑む。
「でも無理は禁止。これからは私やホテルの従業員さんたちを頼って」
私がそう言ってたしなめると、
「じゃあ、俺からはるちゃんにお願いがある。うちのホテルに入社して、ずっと俺のそばにいて」
伊吹くんは兼ねてより考えていたようなニュアンスでそう伝えてきた。
「もしかして、以前に話そうとしていたのはこのこと?」
そう尋ねると、彼は「そうだよ」と微笑んだ。
「俺もはるちゃんともう二度と離れたくない。ずっと俺のそばにいて欲しい」
今の旅行会社の仕事は好きだ。それをこんなにすぐ決めてしまっていいのだろうか。
でも私にとって最も大切なのは伊吹くん。迷いはなかった。
「わかった。ホテルに入社して、ずっと伊吹くんのそばにいる」
私たちはもう二度と離れないことを決めた。
Fin.


