幼なじみの隠れた執着愛〜再会した彼は策士なCEOでした〜
お姉ちゃんは発言に気を遣えるようになったと思っていたけれど、根本的には何も変わっていない。
他人を見下しているし、自分が常に優位に立ちたいと思っている。
私のことなんて完全に下に見ている。
だから、今も自分に感謝されるべき、くらいに思っているのだと思う。
私のおかげで本が出せるんだから、嬉しいでしょ?
そんな気持ちが透けて見えていた。
SNSの運営を辞めたかったのは、仕事だけじゃなく自分自身でもう一度挑戦してみたいと思ったからでもある。
自分には才能がないと諦めていた小説家という夢を、もう一度追いかけてみたいと思った。
sana.として言葉を綴り、多くの人々にその言葉が届き――こんな私でも頑張ってみたいと思えたのだ。
だけど、所詮私はお姉ちゃんの「影」でしかないのだと突きつけられたみたいだった。
「……わかった」
「良かったぁ。ありがとう、望凪!」
断ろうと思えば断れたはずなのに、私は引き受けた。
お姉ちゃんの話からもこのエッセイの出版はかなり期待されているとわかったから。
たとえ私の名前で世に出ることはなくても、多くの人が私の綴る言葉を目にしてもらえると思った。
私の名前じゃなくても、本を出すという長年の夢が叶うのかもしれないと思ったから。
なんて狡いのだろう。
お姉ちゃんの影に隠れ、日陰でひっそりと書き続ける自分がお似合いだと思った。