幼なじみの隠れた執着愛〜再会した彼は策士なCEOでした〜
「そういえば紗凪さん、インフルエンサーなんだよね。SNSよく見るよ」
「えっ……あ、そうなんだよね」
「うちの会社でもよく話題になるよ。すごいよね、紗凪さん」
「う、うん。まあね……」
お姉ちゃんの話題は何となく気まずい。
お姉ちゃんは美鶴くんのことを良く思っていなかった。
私が美鶴くんの家に行くと「なんであんなモサイ地味メンと一緒にいるの?」なんて言われたし。
見た目は関係ないのに。
お姉ちゃんが美鶴くんに冷たい態度を取るのが嫌だったけど、優しい美鶴くんは「気にしないで」と笑ってくれた。
美鶴くんは私に気を遣ってくれていたのだと思うけれど、内心傷ついていたはずだ。
それなのにお姉ちゃんのゴーストライターをしているなんて知られたら――やはり言えるはずがない。
「ねぇ望凪ちゃん、良かったら連絡先を聞いてもいいかな」
「もちろん」
私たちはお互いのスマホを取り出し、連絡先を交換した。
「ありがとう。また連絡するね。カフェにも行くね」
「うん、待ってるね」
「お仕事の邪魔してごめんね」
「そんなことないよ。美鶴くんのおかげで息抜きできたよ」
美鶴くんは表情を綻ばせ、カフェを出て行った。
その後ろ姿を見送りながら、先程までの憂鬱な気持ちが吹き飛んでいたことに気づく。
久々に会ったけど、美鶴くんは昔と全然変わっていなかった。
穏やかで優しくて一緒にいると安心する。
美鶴くんに言えない秘密ができてしまったことは後ろめたいけれど――仕方ない。
私は自分が思っている以上に美鶴くんに失望されたくないようだ。