幼なじみの隠れた執着愛〜再会した彼は策士なCEOでした〜


 ゴーストライターを引き受けたのは、紛れもなく私自身だ。
 引き受けてしまった時点でもう後には引けない。

 このまま突き進むしかないのだ。


「惨めだな」


 やはり美鶴くんに会わなくて良かったのかもしれない。
 こんなに惨めな自分を見られたくない。

 中学生の頃、初めて書いた小説を美鶴くんに読んでもらった。
 遠い昔のことでどんな内容だったか覚えていないけど、とても緊張して全身から汗が噴き出しそうだったことは覚えている。

「すごく面白かったよ。望凪ちゃんは絶対作家になれると思う」

 力強くそう言ってくれた時は、震えるくらいに嬉しかった。

「もし望凪ちゃんが作家になったら、僕がファン一号だね」

 そんな風に言ってもらったのに、実際はお姉ちゃんのゴーストライターデビューする自分なんて絶対に見られたくない。


 *


 何とかシフトを変わってもらい、私はお姉ちゃんと共に出版社を訪れた。
 出版社に訪れるなんて密かな夢だったのに、こんな形になるのが悔しい。

 その日は編集者とSNS担当者も交えて四人での打ち合わせとなった。
 二人とも事前に原稿を読んでくれていて、口々に褒めてくれた。


「とても面白かったです! sana.さんのお人柄が身近に感じられるエッセイでした」
「文才もおありになるとは、sana.さんの多才さをひしひしと感じました」
「いえいえ〜。大したことないですよぉ」


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