幼なじみの隠れた執着愛〜再会した彼は策士なCEOでした〜
柔らかい印象を与える低音ボイスが聞こえ、反射的に私もお姉ちゃんも立ち上がる。
「初めまして、リーチャーズ代表取締役を務めさせていただいております。鏑木と申します」
私はその人を見て、穴が開く程見入ってしまった。
七三分けの黒髪、物腰柔らかく爽やかなそのイケメンは、よくコーヒーを買いに来てくれる常連さんだったからだ。
この人、社長さんだったの!?
私に気づいているのかいないのかわからないが、鏑木社長は優しげな笑顔を向けてくれる。
思わずドキッとしてしまった。
「初めまして! sana.ですっ。鏑木社長とお会いできるなんて光栄です〜」
「……」
「ちょっと望凪!」
膝で小突かれ、ハッとして慌てて頭を下げた。
「sana.の妹の鴇田望凪です。マネージャーとして同席させていただいております。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「……っ」
カフェで店員とお客様として相対する時とは違った雰囲気がある。
だけど不思議と緊張感はない。
鏑木社長の持つ独特の柔らかさが、全く威圧感を与えないのだ。
「実はsana.さんの原稿、読ませていただきました」
「えっ、本当ですか!?」
「とても瑞々しく温かみのある文章で感銘を受けました」
「鏑木社長にそう言っていただけるなんて! ありがとうございます!」