幼なじみの隠れた執着愛〜再会した彼は策士なCEOでした〜


「紗凪さんがあのsana.で今度エッセイを出すって聞いた時、本当に紗凪さん本人が書いたのか気になったんだ。失礼だけど、彼女が書けると思えなくて」
「流石美鶴くん、その通りだよ」
「だから原稿が完成したら見せて欲しいと言った。読んですぐにわかったよ、これは望凪ちゃんが書いたものだって」


 美鶴くん、気づいてくれたんだ。
 幽霊みたいな私の存在に、気づいてくれた人がいたなんて。


「だから望凪ちゃんが書いたという証拠が欲しくて、紗凪さんを調べることにした。カフェに行けなかったのはそれが理由」
「そうだったんだ……」
「許せなかったんだ。望凪ちゃんが一生懸命心を込めて書いているのに、自分は好き勝手遊んで酷いことを言って。会社としても第三者が書いたエッセイの出版に関わるわけにはいかないしね」
「本当に迷惑をかけてごめんなさい」


 私は深々と頭を下げた。


「姉の不始末に私も加担していた。どんな罰も受ける覚悟はできてる」
「望凪ちゃんは悪くないよ」
「でも、たくさんの人に迷惑をかけてしまった――」
「ねぇ望凪ちゃん、もう一度書いてみるつもりはない?」


 思わず顔を上げる。
 美鶴くんは真剣な表情で真っ直ぐ私の目を見て言った。


「エッセイを出す予定だったスター出版にも話してあるんだ。望凪ちゃんに新作の小説を書いてもらうのはどうかって」
「ええ!? 何を言ってるの?」
「スター出版は乗り気だったよ」


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