解けない魔法を このキスで
「新海さん、ごちそうさまでした。とても美味しかったです。それに豪華なお部屋だけでなく、エステにドレスに、他にも色々と本当にありがとうございました」
食事を終えるとスイートルームまで送ってくれた高良に、二人は揃ってお礼を言う。
「こちらこそ。喜んでいただけたようでなによりです。明日もどうぞお好きなだけ滞在していってください。それではここで」
「はい、おやすみなさい」
部屋に入ると、美蘭と未散は改めてスイートルームを見渡した。
「ほんとに夢みたいな1日だったね」
「うん。でもまだ続いてるよ。今夜はここで寝るんだもん。あー、朝まで美蘭とおしゃべりしたいけど、せっかくだから別々にゴージャスな部屋を満喫しようか。美蘭、どの部屋で寝る?」
「未散ちゃんが先に選んで。私はどこでもいいから」
「そう? じゃああっちの部屋にしようかな」
「それなら私は反対側のこっちを使うね。早速お風呂に入ってくる。あとで明日の予定を相談しようか」
「オッケー。あとでねー」
一旦未散と別れて広いリビングを横切り、奥のドアを開けると、大きなキングサイズベッドが置かれた部屋に入った。
パウダールームでドレスを脱ぐと、髪を解いてシャワーブースに向かう。
鼻歌を歌いながらシャワーを浴び、猫足のバスタブにお湯を張って優雅にバブルバスを楽しんだ。
「はあ、気持ち良かった」
バスローブを着てリビングに戻ると、まだ未散の姿はない。
きっと同じようにバスタイムを楽しんでいるのだろう。
美蘭はソファに座って、夜景を眺めながら待つことにした。
(綺麗な景色。葉山の海とはまた違う印象だな。港って感じで)
随分そうして見とれていたが、まだ未散は出て来ない。
(長風呂だな、未散ちゃん。気持ちは分かるけどね。贅沢な時間だもん)
それにしてものぼせないかと心配で、美蘭は冷たい飲み物を用意しておくことにした。
(氷、取りに行こうっと)
アイスペールを手にすると、そっとドアを開けて廊下の様子を見る。
人の気配がないのを確かめてから外に出た。
だが後ろでパタンとドアが閉まった瞬間、あ!と声を上げる。
(大変、カードキー忘れちゃった!)
慌ててチャイムを鳴らすが、未散は現れない。
(まだお風呂なのかな。どうしよう、誰か来ちゃったら)
バスローブ姿では、フロントに行く訳にもいかない。
何度もチャイムを鳴らしていると、エレベーターホールから誰かがこちらに来るのが見えた。
ひえっと首をすくめた時、白石さん?と声がした。
「え? あ、新海さん!」
「どうしました?」
「あの、氷を取りに行こうとしたら、カードキーを忘れてしまって。未散ちゃんはまだお風呂に入ってるみたいで……」
バスローブ姿が恥ずかしくなり、うつむいていると、高良は「どうぞこちらへ」と言って歩き出す。
ついていくと、廊下の突き当たりの STAFF ONLY と書かれたドアをカードキーで解除して、高良は美蘭を振り返った。
「この先がペントハウスに繋がっています。ひとまずそこへ」
「はい、ありがとうございます」
食事を終えるとスイートルームまで送ってくれた高良に、二人は揃ってお礼を言う。
「こちらこそ。喜んでいただけたようでなによりです。明日もどうぞお好きなだけ滞在していってください。それではここで」
「はい、おやすみなさい」
部屋に入ると、美蘭と未散は改めてスイートルームを見渡した。
「ほんとに夢みたいな1日だったね」
「うん。でもまだ続いてるよ。今夜はここで寝るんだもん。あー、朝まで美蘭とおしゃべりしたいけど、せっかくだから別々にゴージャスな部屋を満喫しようか。美蘭、どの部屋で寝る?」
「未散ちゃんが先に選んで。私はどこでもいいから」
「そう? じゃああっちの部屋にしようかな」
「それなら私は反対側のこっちを使うね。早速お風呂に入ってくる。あとで明日の予定を相談しようか」
「オッケー。あとでねー」
一旦未散と別れて広いリビングを横切り、奥のドアを開けると、大きなキングサイズベッドが置かれた部屋に入った。
パウダールームでドレスを脱ぐと、髪を解いてシャワーブースに向かう。
鼻歌を歌いながらシャワーを浴び、猫足のバスタブにお湯を張って優雅にバブルバスを楽しんだ。
「はあ、気持ち良かった」
バスローブを着てリビングに戻ると、まだ未散の姿はない。
きっと同じようにバスタイムを楽しんでいるのだろう。
美蘭はソファに座って、夜景を眺めながら待つことにした。
(綺麗な景色。葉山の海とはまた違う印象だな。港って感じで)
随分そうして見とれていたが、まだ未散は出て来ない。
(長風呂だな、未散ちゃん。気持ちは分かるけどね。贅沢な時間だもん)
それにしてものぼせないかと心配で、美蘭は冷たい飲み物を用意しておくことにした。
(氷、取りに行こうっと)
アイスペールを手にすると、そっとドアを開けて廊下の様子を見る。
人の気配がないのを確かめてから外に出た。
だが後ろでパタンとドアが閉まった瞬間、あ!と声を上げる。
(大変、カードキー忘れちゃった!)
慌ててチャイムを鳴らすが、未散は現れない。
(まだお風呂なのかな。どうしよう、誰か来ちゃったら)
バスローブ姿では、フロントに行く訳にもいかない。
何度もチャイムを鳴らしていると、エレベーターホールから誰かがこちらに来るのが見えた。
ひえっと首をすくめた時、白石さん?と声がした。
「え? あ、新海さん!」
「どうしました?」
「あの、氷を取りに行こうとしたら、カードキーを忘れてしまって。未散ちゃんはまだお風呂に入ってるみたいで……」
バスローブ姿が恥ずかしくなり、うつむいていると、高良は「どうぞこちらへ」と言って歩き出す。
ついていくと、廊下の突き当たりの STAFF ONLY と書かれたドアをカードキーで解除して、高良は美蘭を振り返った。
「この先がペントハウスに繋がっています。ひとまずそこへ」
「はい、ありがとうございます」