解けない魔法を このキスで
「もしもし、わたくし株式会社 新海ホテル&リゾートの新海高良と申します。いつもお世話になっております」
『こちらこそ、いつもお世話になっております。ソルシエール代表の白石美蘭(みらん)と申します。えっと、新海さん? ということは、その?』

電話の向こうで、女性が困惑しているのが分かる。
早く本題に入りたいと思いつつ、「副社長をしております、新海です」と淡々と告げた。

『ふ、副社長の方でいらっしゃいますか? あの、なにかこちらに不手際がありましたでしょうか?』

恐る恐るといった様子で聞いてくる。

「とんでもない。御社には日頃から大変助けられております。いつもありがとうございます。本日はご相談があり、このように突然お電話を差し上げてしまいました。ご容赦ください」
『いえ、それは構いませんが。なにかありましたか?』

高良は手短に状況を伝えた。
すると女性はすぐに声色を変えて、はきはきと話し出す。

『承知いたしました。その花嫁様はまだそちらのサロンにいらっしゃるのですね? これからすぐに向かいます。40分だけお時間をください。それでは、のちほど』

隙のない口調に、高良はロクな返事も出来ずに電話を終えた。
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