素直になれないふたり
「しょうがないから、ほとぼりがさめるまで、俺のところに来いよ。匿ってやるから」
「え⋯⋯それ、何のつもりで?」
「何って、危ないから匿うっていうだけのことだよ。心配しなくたって⋯⋯どころか、何か期待されたとしても、手を出す気はない」
 ジローは淡々と言うが、どうしてこんなにあっさりと、ひとつ屋根の下で一緒に寝泊まりする提案ができるのだろう?
 確かに、あれから早くも6年もの歳月が流れ、もうお互いに未成年ではない。
 とはいえ、あの頃――19の頃――といえば、まだ大人ではないものの、ただ無邪気なだけの子供でもなかったのに。
 昔のことに拘っているのは私だけで、ジローはもう、あの夏の出来事など、忘れてしまったのだろうか。
「とにかく⋯⋯危ないから、当分は帰るなよ」
 真顔で言われる。
「でも、バイト入れなきゃ⋯⋯」
「俺、こう見えて結構稼いでるんだ。生活費のことは気にしなくていい」
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