素直になれないふたり
 田舎の県内トップ高校を出たあと、都内の名門女子大に進学。在学中は読者モデルをしていた。
 それだけ聞けば、キラキラした青春のように聞こえるかもしれないが、実態はまるで違った。
「定職には就きたくないのか?」
「それができるものなら、とっくにしてるわよ」
 学歴だけはよくても、仕事となると全く使い物にならない私は、ボロを出さぬよう、単発のバイトでその日暮らしをしている。
 そんな危うい日々を繋ぎ合わせて生きてきたら、あっという間に25歳になってしまった。
「まあ、トーコの友達みたいに、港区女子っていうの?パパ活で派手な暮らしをしてる子よりはいいと思うけど」
「それって、その港区女子のおさがりを着てる私への嫌味?」
「違うよ。なんでもかんでも悪い意味に捉えるなって」
 もはや、キラキラした暮らしなど望んではいない。
 ちゃんと、地に足のついた人生を送りたい⋯⋯それだけなのに。
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