素直になれないふたり
 一方、私はというと、いくら派手でも見かけ倒し。
 高校までは、全力とまではいかなくとも、それなりに勉強を頑張ってきたのだから、一応、真面目な子の部類だったはず。

 ただ悶々としながら、あっという間に丸一年が経ってしまった。
 サチとアユが、学生最後の夏は思い切りハメを外したいと言い、私たちは三人で、夏休みをビーチハウスで過ごすことに。
「ねーねー、いい出会いがあったらどうする?」
 サチが言い、
「え?あんた、彼氏いなかった?」
 私が尋ねると、
「彼氏のことは忘れて火遊びしたいもん。そうだ!素敵な人と知り合ったら、私たちCAかアナウンサーだってことにしておかない?」
「それ、いいねー!どうせまともな就職なんて出来ないし。せめて夏の間だけでも、才色兼備のふりしたーい」
 二人はノリノリだった。
 私も、流される形で、もし都合よく素敵な出会い系なんかあればね⋯⋯ぐらいに思っていた。
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