素直になれないふたり
 ナンパした相手に、そんなことを話すものなのだろうか。
 私は、ナンパするような男はいつも無視してきたので、そこがよくわからなかった。
「今夜は、最近の夏にしては珍しく肌寒いのね」
 そう言うと、
「じゃあ、俺のところに来る?」
 その言葉をどう受け止めていいのかわからず、答えに困ってしまった。
「あ⋯⋯!ご、ごめん。変な意味じゃないって!みんなも居るんだし」
「そ、そうね」
 自意識過剰だったかと思い、二人でジローの泊まっているビーチハウスへ向かった。
 ジローは、ハウスのドアを開けたかと思いきや、大慌てで閉め、
「やっぱりやめよう!」
「どうして?」
 ジローは、かなり言いづらそうに、
「その⋯⋯あいつら、よりによって共有スペースで⋯⋯」
 ハッキリとは言わずに、両手の人差し指をクロスさせた。
 言わんとしていることがわかり、ギョッとしてしまった。
「うそ!?信じられない⋯⋯!」
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