素直になれないふたり
優等生にも不良にもなれない、そんな自分が本当に嫌だった。
簡単に男と関係を持つ彼女らを密かに軽蔑する一方で、若さを免罪符に、どれだけでも開放的になれることに対して、心の何処かで嫉妬もしていた。
「あいつらはこっちのハウスに居ることだし、トーコのところに行ってもいい⋯⋯?」
この時、私は思い切って、ひと夏限りの火遊びをしてしまいたい気分にもなった。
「いいわよ」
しかし、ジローは、ソファーに並んで座っていても、いつもと変わらず他愛ないことを話すだけ。
水着ではないからなのか、私の目をじっと見つめながら。
ふとした瞬間、いわゆる“甘い雰囲気”になったのを感じた。
恋愛経験がなくても、そういうことは、何となくわかるものなのだと初めて知った瞬間でもあった。
「トーコ⋯⋯」
一体、何日目から呼び捨てにされるようになったのかも覚えていないが、甘い囁きに、黙って瞳を閉じた。
簡単に男と関係を持つ彼女らを密かに軽蔑する一方で、若さを免罪符に、どれだけでも開放的になれることに対して、心の何処かで嫉妬もしていた。
「あいつらはこっちのハウスに居ることだし、トーコのところに行ってもいい⋯⋯?」
この時、私は思い切って、ひと夏限りの火遊びをしてしまいたい気分にもなった。
「いいわよ」
しかし、ジローは、ソファーに並んで座っていても、いつもと変わらず他愛ないことを話すだけ。
水着ではないからなのか、私の目をじっと見つめながら。
ふとした瞬間、いわゆる“甘い雰囲気”になったのを感じた。
恋愛経験がなくても、そういうことは、何となくわかるものなのだと初めて知った瞬間でもあった。
「トーコ⋯⋯」
一体、何日目から呼び捨てにされるようになったのかも覚えていないが、甘い囁きに、黙って瞳を閉じた。