素直になれないふたり
 今度は、私たちがギョッとする番だ。
 それでも、
「CAだろうと、なかろうと、声かけてきたのはあんたたちでしょ!?責められる筋合いはないし!」
「そうよ!見た目で寄ってきただけなら、私たちの職業なんて関係ないでしょ!」
 女の子側の反論に対して、
「はぁ?どんだけ自惚れてるんだよ。お前は別に美人じゃなくて、自分を美人だと思ってるのがバレバレな女なだけ。何より、如何にも尻軽そうだから引っ掛けたんだよ!」
 随分な暴言を吐かれ、あとはもう修羅場だった。
 実を言うと、私はジローと過ごしていた間ずっと、彼が医学生なんかじゃなければいいのに⋯⋯という思いがあった。
 いくら名門女子大でも、劣等生の私では釣り合わないから。
 それなのに、どうしてだろう?
 ジローがほかの二人と同じように、嘘をついてナンパしてきたのかと思うと、やはり許せないと思ってしまった。
 矛盾しているとは思うが。
< 31 / 57 >

この作品をシェア

pagetop