素直になれないふたり
「嘘をついた上に、今度は私を自分のバーに通わせたいというのね」
「せめてのお詫びに、トーコからは一切、お金はとらないよ」
「そうですか」
サチたちが、早く帰るよ!と遠くで呼ぶので、私はジローに背を向けて歩き出した。
「トーコ!本当にごめん⋯⋯」
何度も謝るジローの声を背中で聞いたものの、振り向くことなく、私はあまりにも淡く儚いひと夏のロマンスに終止符を打った。
サチとアユは、あれほど怒っていたものの、東京では平然と彼氏のもとに戻り、彼氏に飽きてくると、また合コンやらパーティーへと繰り出して楽しんでいた。
私は、彼女らに誘われても、その気になれなかった。
どうせ、軽いノリの出会いなんて、ろくな結果にはならないとわかったから。
夏休みが終わると、またしても、落第しないこと、卒業することで精一杯の、余裕のない大学生活に戻った。
劣等生の私には、新しい恋などしている暇はなかった。
「せめてのお詫びに、トーコからは一切、お金はとらないよ」
「そうですか」
サチたちが、早く帰るよ!と遠くで呼ぶので、私はジローに背を向けて歩き出した。
「トーコ!本当にごめん⋯⋯」
何度も謝るジローの声を背中で聞いたものの、振り向くことなく、私はあまりにも淡く儚いひと夏のロマンスに終止符を打った。
サチとアユは、あれほど怒っていたものの、東京では平然と彼氏のもとに戻り、彼氏に飽きてくると、また合コンやらパーティーへと繰り出して楽しんでいた。
私は、彼女らに誘われても、その気になれなかった。
どうせ、軽いノリの出会いなんて、ろくな結果にはならないとわかったから。
夏休みが終わると、またしても、落第しないこと、卒業することで精一杯の、余裕のない大学生活に戻った。
劣等生の私には、新しい恋などしている暇はなかった。