素直になれないふたり
「トーコが不器用な人だってことは、長い付き合いでよくわかったつもりだよ。どんなに崖っぷちの生活になっても、実家を頼ったり、あの二人の友達みたいにパトロンのいる暮らしや、性産業に走らないのは、立派だと思う」
 その程度のことで立派と言われるのは、なんとも複雑な気分で、苦笑いしてしまう。
 以前、港区女子になったサチとアユに、同じ道へと誘われたこともあった。
 それを断ったのは、何か立派な志があったからではなく、なんとなく、そういうことに強い嫌悪感があったというだけのこと。恐らく、私は潔癖なのだろう。
 とはいえ、プロ彼女になろうとしたり、今は今で、彼氏でもないジローに居候させてもらっているのだから、結局のところ、もう自力で生きることに限界がきているのかもしれない。
「こんな狭い部屋じゃ嫌かもしれないけど、いつまででも居ていいんだからな⋯⋯」
 急に、ジローはそんなことを言う。
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