素直になれないふたり
 豊胸に始まり、整形、過度なダイエットなどで、最後に会った時点でも、なんだか知らない人に見え、心配にもなった。
 うまく生きてゆけないのは、何も私だけではないのかもしれない。
「トーコ、聞いてるのか?全く⋯⋯いつも危なっかしくて、こっちは心臓がもたないよ」
 そう言って苦笑いする。
「よく言うわよ。もし、最初から、こんなダメ女だと知ってても、あの夏、私のこと⋯⋯」
 好きになった?
 勢いで、そう尋ねようとしたが、結局はいつも通り言えずじまい。
 あの夏にしても、好きだとは一言も言われていないから、尚更だ。
「もう、バッカスの変なファンに狙われてないなら、私もそろそろ帰らないとね。今まで匿ってくれて、本当にありがとう」
 せめて、それだけは、ちゃんと素直に言わなければと思った。
「俺、ずっとトーコに聞きたかったことがあるんだ」
 なんだか、かみ合わない言葉が返ってきた。
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