素直になれないふたり
「私だって⋯⋯もし、何とも思ってなかったら、あの子たちみたいに、自分のことは棚上げで、ジローのことを詰るだけ詰って、二度と会わなければいい話だったのよ。そうじゃなきゃ⋯⋯好きじゃなかったら、毎晩のように店に行ったりしないし、いくら怖い思いをしたからって、こうしてずっと居候なんてするわけないでしょう?」
「トーコ⋯⋯」
「それに、嘘をついたのはジローだけじゃない。私だって、本当はただの劣等生なのに、CAだなんてつまらない嘘をついたわ。言い出しっぺが誰かなんて関係ない。本当は、ジローが医学生じゃなきゃいいのにって、あの夏、ずっと思ってた。それなのに、どうしても素直になれなくて⋯⋯ごめんなさい⋯⋯」
辛うじて言い切った瞬間、ジローは私のことを強く抱きしめた。
「今度こそ、期待してもいいのか?トーコも同じ気持ちでいてくれるって⋯⋯」
抱きしめる腕の力が強すぎて、頷くことすらできない。
「トーコ⋯⋯」
「それに、嘘をついたのはジローだけじゃない。私だって、本当はただの劣等生なのに、CAだなんてつまらない嘘をついたわ。言い出しっぺが誰かなんて関係ない。本当は、ジローが医学生じゃなきゃいいのにって、あの夏、ずっと思ってた。それなのに、どうしても素直になれなくて⋯⋯ごめんなさい⋯⋯」
辛うじて言い切った瞬間、ジローは私のことを強く抱きしめた。
「今度こそ、期待してもいいのか?トーコも同じ気持ちでいてくれるって⋯⋯」
抱きしめる腕の力が強すぎて、頷くことすらできない。