フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
 声を震わせるデイジーに私が頷くと、エドワード様は小さく「なるほど」と呟いた。その瞳は真剣そのもので、私たちの不安を取り除こうと考えているのだろうことが伝わってくる。
 それだけでも、私の心は少し安堵感を覚えた。

「心配することはない。私は何度も森に行っているが、こうしてここにいるではないか」
「それは、エドワード様が悪しき心を持たれていないからですわ」
「どうだろうな。口にしていないだけで、心の中では悪巧みをしているかもしれないぞ?」

 軽く笑い飛ばすエドワード様に、私の心はまた少しだけ軽くなる。

 ほっと胸を撫で下ろす私に反して、デイジーはまだ不安が残るようで「でも」と繰り返す。

「……幼い時にグリムオースに立ち入った戦士が帰ってこなかった話を聞いたこともあります」

 不安そうなデイジーの話に、どきりとした。確かに、そんな話もあったわ。

 それに、グリムオースには魔物が近づかないともいわれる。魔物すら、煉獄に連れて行かれるのを恐れているのだと。だからデスモンドの子どもは、グリムオースを行ってはいけない場所だと教わる。

「それが、デズモンドの教えか」
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