フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
悪魔……ふと王城に住まう悪魔のことを思い出した。それと、ヴィアトリス王妃の冷たい眼差しを。
もしも、悪魔がいるとしたら、あのように冷たい眼差しをしているのだろうか。──こんなことを考えてると知られたら、不敬を問われかねないわね。
静かな森に踏み入り、辺りをうかがった。
頭上を見れば、木の枝が覆い被さるようにして交わっている。ここはまるで木のトンネルだわ。だけど足元は、整えられた歩道になっている。
靴音がこつこつと、静かな森に響く。
「……不思議な森」
煉獄の炎なんて欠片も感じない。勿論、魔物の気配も。ここは本当に煉獄へ繋がっているのかしら。
デズモンドでは、どこの森だとしても、近づけるのは腕に覚えのある者たちだけだ。身分に違わず、己の身を守れないものは入ってはならない。
それくらい危険で、いつ木陰から襲われるかわからないものだと教わる。
木々が揺れ、ざわざわと音を立てた瞬間、ハッとして反射的に体を固くした。
思わずエドワード様の手を握りしめると、彼は足を止めて私を振り返った。
もしも、悪魔がいるとしたら、あのように冷たい眼差しをしているのだろうか。──こんなことを考えてると知られたら、不敬を問われかねないわね。
静かな森に踏み入り、辺りをうかがった。
頭上を見れば、木の枝が覆い被さるようにして交わっている。ここはまるで木のトンネルだわ。だけど足元は、整えられた歩道になっている。
靴音がこつこつと、静かな森に響く。
「……不思議な森」
煉獄の炎なんて欠片も感じない。勿論、魔物の気配も。ここは本当に煉獄へ繋がっているのかしら。
デズモンドでは、どこの森だとしても、近づけるのは腕に覚えのある者たちだけだ。身分に違わず、己の身を守れないものは入ってはならない。
それくらい危険で、いつ木陰から襲われるかわからないものだと教わる。
木々が揺れ、ざわざわと音を立てた瞬間、ハッとして反射的に体を固くした。
思わずエドワード様の手を握りしめると、彼は足を止めて私を振り返った。