フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~

第2話 魔族令嬢は、城に咲く薔薇になにを思う?

 エドワード様に連れられ、王城内で王族が暮らす居住区へときた。その一室に案内されると、荷物の整理をしていたデイジーが出迎えてくれた。

「リリアナ様、お顔の色が優れないようですが……」
「心配ないわ。少し、疲れが出ただけよ」

 おろおろとするデイジーに微笑み、エドワード様を振り返る。

「エドワード様、先ほどは失礼いたしました」
「なんのことだい?」
「王妃様からの言葉に戸惑い、すぐにお返事をすることができませんでした」
「ああ、気にすることはないよ。妃殿下は少々気難しいところがあるが……私が君を守るから、安心して欲しい」

 慈しむように私を見る双眸に、憂いのような影がよぎった。

 だけど、その憂えた表情は一瞬のことで、少しだけ顰められた眉も気付けば元のように凛々しく上がっていた。

 私を守るといった言葉に、引っ掛かりを感じた。
 もしかして、エドワード様はヴィアトリス王妃に、なにか不信感を抱いているのかしら。この国は、なにか問題を抱えているの……?
< 12 / 275 >

この作品をシェア

pagetop