フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「ドレス?」

 なんの話かわからずに首を傾げていると、ポットを持つデイジーが「私が頼んだんです!」と笑顔でいった。

 トルソーに、とても華やかなドレスが次々とかけられていく。

 薔薇の花のように幾重にも裾を重ねたピンクのドレス、白いカラーのようなタイトなドレス、小花が集まるハイドレンジアのように淡い紫のドレス。どれも、ガラスビーズが輝き王弟の妃に相応しいものだろう。

 だけど、どうして当然?
 首を傾げていると、デイジーがピンクのドレスの前で立ち止まった。

「どれも素敵ですが、お茶会にはこのくらい可愛らしいデザインが良いかもしれませんね」
「私もそう思います。夜会でしたら、こちらの白も良いかと思いますが、少々露出が増えるのが気がかりです」
「あまり、肌を露出するのは、私も好まぬぞ」

 真剣な顔をして話すデイジーとサフィアに、エドワード様が声をかける。

 どうして、彼まで当然のように話をしているのか、全く理解できない私はすっかり蚊帳の外だ。
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