フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
 豪華な金色のドレスと、彼女の広げる扇子に描かれた蝶が、陽光をギラギラと返した。

 息を呑み、令嬢たちの前に一歩出る。震え出しそうな手に力を込めて淑女の挨拶を披露した。
 そんな私の横で、エドワード様が「ヴィアトリス王妃、よくいらっしゃいました」というと、王妃は扇子をパチンっと鳴らして閉じた。

「少し、お茶会を開くのが遅かったわね」
「申し訳ありませんでした。王妃に失礼のないよう、準備に手間取りまして」
「そう……リリアナ、改めて、アルヴェリオンへようこそ」

 私に向き直ったヴィアトリス王妃の扇子が、肩を叩いた。

「素敵なドレスね。エドワードの薔薇にふさわしい美しさだわ」
「ありがとうございます、ヴィアトリス王妃」
「それに」

 どうぞこちらへと案内しようとした時だった。
 赤い唇を吊り上げたヴィアトリス王妃は私の顔を覗き込むように、距離をつめた。

「エリザを思い出したわ」

 淡々とした言葉に、どきりと心臓が跳ねた。
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