フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
 背中を汗が伝う。まるで、蛇に睨まれた蛙だわ。

 どう返すのが正解なのかもわからず、唇を震わせた時だった。ベルフィオレ公爵夫人が「ヴィアトリス王妃、こちらへどうぞ」と声をかけてくれた。

 王妃の視線がそれた瞬間、安堵が胸によぎった。

 ヴィアトリス王妃が当然のように中央に座し、私は気づかれないように息を吸い込んだ。すると、寄り添うように横に立つエドワードが、そっと背中に触れた。

「リリアナ、さあ、座ろう」 

 ほっと息をついて頷くと、緊張の糸が張り詰めたまま、お茶会が始まった。

 デイジーとサフィアがお茶を注いで回る。

「この紅茶、花の香りがしますわね」

 ベルフィオレ公爵夫人の穏やかな声に、令嬢たちが、次々に「まあ本当に」と頷きながら顔をほころばせた。
 ヴィアトリス王妃も、少し微笑んで「薔薇の花びら茶かしら」といって、香りを楽しむ素振りを見せた。

「先日、私が幼い頃世話になった家庭教師に会いまして。その時に分けて頂いたものです。リリアナが気に入り、皆様にもぜひ振舞いたいと」

 私を見たエドワード様と視線を交わし、少し遠慮がちに頷くと、令嬢たちから「まあ」と小さな驚きの声が上がった。
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