フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
 王弟殿下と共に戦うときめたの。だって、私は──

「私はフェルナンドの薔薇です。エドワード様をお守りは難しくとも、頼られる妃になりたい。そうお伝えしたはずです」
「……リリアナ」
「無茶はしません。でも、私を信じてください。必ず、あなたの力になります……」

 エド、と胸の内で親しみを込めて彼を呼んだ。

 私の心はもうエドワード様を認めて、愛しいと思っている。だからこそ、私は私の成すべきことをする。

 ブローチを握りしめると、再び肩を強く抱きしめられた。そして、耳元で優しい声が「ありがとう、私の薔薇姫」と囁いた。

 ◇

 はじめてのお茶会がすぎてから、デイジーにヴィアトリス王妃のことを探ってもらった。
 十日もすると、城で働く侍女の間での、王妃の評価が見えてきた。

 私が感じるような冷たさや、逆らえないと感じるような威圧感を訴える者が多いようだった。だけど、王妃様によくしてもらったとか、女神のようだと称える者も少なくなかった。

 どちらが本当の顔かわからないわね。
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