フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
ヴィアトリス王妃の視線が、ついとエドワード様に向く。すると彼は、私の腰に手を回して「もちろんです、王妃様」と笑顔で答えた。
黒い瞳がすっと細められた。
「しいていえば、いつまでも私をエドと呼んでくれないことが──」
「エドワード、貴方には聞いていなくてよ」
「ははっ、そう邪険にしないでください。二度と、あのようなことのないよう、今度は妃を愛すると決めておりますから、ご安心を」
「……そう、頼もしいわね。リリアナ、いつでも私を頼ってよいのですからね」
「ありがとうございます、王妃様。身に余る光栄です」
「ふふっ、そんなに畏まらなくていいのよ。私は、貴女の義姉になるのですから、遠慮せずに頼りなさい」
ヴィアトリス王妃の声は穏やかそうだけど、ぬくもりを感じない。
笑う声がここまで冷ややかに聞こえることがあるのね。偽りの親しみは、まるで小鳥を追い込む網のようだわ。
エリザ様の死を思い出し、背中を汗が伝う。
声が震えないよう息を吸い、再び腰をかがめて一礼をしながら「ありがとうございます」と答えるのが、精一杯だった。
黒い瞳がすっと細められた。
「しいていえば、いつまでも私をエドと呼んでくれないことが──」
「エドワード、貴方には聞いていなくてよ」
「ははっ、そう邪険にしないでください。二度と、あのようなことのないよう、今度は妃を愛すると決めておりますから、ご安心を」
「……そう、頼もしいわね。リリアナ、いつでも私を頼ってよいのですからね」
「ありがとうございます、王妃様。身に余る光栄です」
「ふふっ、そんなに畏まらなくていいのよ。私は、貴女の義姉になるのですから、遠慮せずに頼りなさい」
ヴィアトリス王妃の声は穏やかそうだけど、ぬくもりを感じない。
笑う声がここまで冷ややかに聞こえることがあるのね。偽りの親しみは、まるで小鳥を追い込む網のようだわ。
エリザ様の死を思い出し、背中を汗が伝う。
声が震えないよう息を吸い、再び腰をかがめて一礼をしながら「ありがとうございます」と答えるのが、精一杯だった。