フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「はい。王妃様の本心を知る好機だと申しておりました」

 リリアナ、君も同じなのか。
 あれほど無理をしないでほしいと頼んだというのに。

「本心を知る……」
「なにか悪事に繋がる言葉を引き出せたらとお考えのようです」

 今にも泣きそうなデイジーは、彼女を支えるサフィアの手を強く握りしめた。

「言葉……能力を使うということか?」
 
 そう問えば、デイジーは何度も頷いた。
 庭でリリアナが打ち明けてくれた能力をふと思いだした。

 夜の茶会であれば酒もふるまわれるだろうし、王妃も隙を見せるかもしれない。そうすれば、能力を使わずとも話を引き出せるかもしれないが……

「護衛もない状態では、もしも気付かれでもしたら危険だな」
「止めてください、殿下! リリアナ様お一人では危険です。あの能力を使わせないでください!」

 突然の訴えに、眉をひそめた。

「……どういうことだ?」
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